最終更新日:2019年1月19日
戸田デザイン研究室(戸田やすし・大澤千早) × いろや商店の店長
雑談・インタビュー:絵本・おもちゃ・雑貨の生まれる場所
5000冊の絵本が家に届いてから…、戸田デザイン研究室を訪ねて(1)
いろや商店の前身、「旧・いろや商店ストア」。
商品の取り扱いをまったくしたことがなかった私たちにとって、商品メーカーとの取引は長く険しい道のりでした。
そんな最中、足を運んだ展示会で出会ったことがきっかけで、戸田デザイン研究室の取り扱いはスタートしています。
サービスもサイトもまだ立ち上がっておらず、何もわからない私たちの質問や対応に丁寧にお応えしてくださり、その対応一つ一つにものづくりの精神が出ていると感じていました。
店長が家で息子と遊んでいた「リングカード」。
あいうえおに触れるきっかけとなる絵本「あいうえおえほん」は、80万人を超すこども達に読み継がれて来たロングセラーです。
それらを生み出す、戸田デザイン研究室のはじまりとこれからを聞きたいと思って遊びに行きました。
1話完結と思っていたのですが、たくさんのお話ができて1ページにはおさまりきらなかったので、3回に分けてお届けいたします。
楽しいな、ワッ!きれい、心を動かすこと
店長:
こんにちは。
マイペースに行きたいと思っていますので良いご質問ができるかわからないのですが…、質問を幾らかさせていただきながら進めたいと思ってます。
一応色々と準備をして来たんですが、まずは戸田さんのことを知らない方に向けて、今までどういう経緯でスタートされて、絵本や積み木をつくる今に至ったのか、これまでの経緯をお聞きしたいと思ってます。
戸田:
そうですね…..、ちゃんとした質問ですね…。(笑)
(一同、笑。)
ここで、お話のバトンはお話し上手ということで、大澤さんへ。
大澤:
戸田幸四郎という作家がいまして、もともと店舗のデザインを手がけていたんですけれども、代表作の「あいうえおえほん」を30年以上前にまず一冊作りまして、そこから絵本づくりがスタートしているというのがざっくりとした経緯です。
そこから変わらないのは、「あいうえおえほん」なので、もちろん文字を伝えるということなんですけれども、その後に続く数字の絵本であれ、地図の絵本であれ、正しい知識を伝えることは大事だけれども、まずは楽しいとか、ワッ!これきれいだなって、心を動かすことを大事にしているので、当然デザイン、色だとか・わかりやすさとかを重視して作品づくりが続いてきています。
「あいうえおえほん」を出発として、これは私たちの特徴になるのですが、求められてるからとか、今流行っているからといったことではなくて、ちょっとわがままになってしまうのですが、作り手の想いがベースになってます。
店長:
はい。
大澤:
こどもたちに限らず、大人の方に届いたらいんじゃないかと、「こういう物を作りたいんだ、という気持ちがベースにあって」、そこに突き詰める為には、すごく丁寧に作るということが約束事のようにモットーとしてあります。なので、作品が生まれるペースはとてもゆっくりで、1年に1作というのが最短ぐらいのペースですね。
妥協なく、色も構成も文字のフォントも全てオリジナルデザインなんだけれども、これでやりつくしてはずかしくなく、いいものができたねというところまでやり抜くというのがお客様と自分たちのやり方に対しての責任と思ってます。
ずっとそうやって絵本をつくってきました。
(丁寧で熱心なお話に、店長の入る隙間は全くありません。)
店舗デザインから絵本づくりへ
戸田:
ちょっと補足すると、父は店舗のデザインとか内装とかの仕事を主にしてたんですね。
そういう仕事って、新しくつくって什器の入れ替えで半年くらい経って壊してといったことの繰り返しの仕事なんですね。
店長:
それは、こどもに関係することではなくてですか?
戸田:
そうですね、
飲食店だとか、ブティックだったり、展示会の内装だったり、デザインとつくものはノンジャンルで行なってました。
新しく提案して自分のデザインしたものが、お店によって3ヶ月の什器の入れ替えで壊してと、そういう繰り返しの仕事をして来たんですね。
作っては壊し、作っては壊しという中で….
そこに疑問を感じはじめて、もっと残るものをつくりたい。
自分のデザインしたものが残るものを作りたいという気持ちがあって、店舗の設計をしながら、片手間に「あいうえおえほん」の絵をずっと描きためてたんですね。
店長:
その時から、絵本にしようと思ってたんですか?
戸田:
そうですね、絵本にしようと思ってたんですね。
これ、よく聞かれるんですけれども、僕のために絵本を作ってたわけではなくて、僕はもうその時に二十歳(ハタチ)になっていたので。
そういうことではなくて、自分のデザインした絵本をと考えてたんですね。
それが1982年なんです。「あいうえおえほん」をつくって、はじめ5000冊くらい作ったんです。当時埼玉の田舎の方に住んでまして、それが自宅にトラックで運ばれて来たんですね。
田舎なので、土地がたくさんあって物置はたくさんあって、しまうところはたくさんあったので、物置から押入れまで家の中が本でいっぱいです。(笑)
5000冊ってかなりの量なんですよ。
そこに本がたくさん運ばれて、兄もいるんですけれども、母も….。これからこの本を売って、食べていくよという話になったんです。
まじかこれ(笑)
戸田:
そして、大学の頃なんですけども、
休みの時に、どこ行こうか?という話になって、絵本だもんなぁー、じゃー幼稚園行ってみるか?
という話になって、その本をもって、今でいうと飛び込み営業です…。(笑)
そこから、注文をうけたり。時代もあったと思うんですが、これがよく売れたんですよ。
本を見て、すごくいい本だといってくれる人はたくさんいて、これなら園児に渡したいから。とかで結構注文が取れて、それでその当時の家族の生計は成り立って行ったんですね。
店長:
へ〜、すごいですね。(笑)
成り立つかわからなかったわけですよね?
戸田:
わからないです。(笑)
戸田:
出版業界のルールも全く知らなくて、本屋さんに行って並べて欲しいといったんだけど、取次っていうシステムがあるらしいよ?
という話を持って帰ってきたりするくらい。(笑)あちこち行くんだけど、断られるんですよね。
僕とか兄とか、どっか行って来いと言われて。
二十歳くらいなので、イヤイヤですよね。「まじかこれ(笑)」みたいな感じで、まわるんですが、あちこち断られるを繰り返してたんです。
(一同、笑。)
戸田:
そしてその当時、紀伊国屋さんに行ったら、紀伊国屋の仕入れというのはかなりちゃんとしていて、どんな人が持って来ても、持って行った商品のことはちゃんと見てくれるんです。
そこで、これはいい本だという話になって、全国の紀伊国屋で売ろうということで500冊くらい注文をもらってから、全国の紀伊国屋に配本されて、それから取次などにお話が渡って今に至ってるわけなんです。
その頃なんですが、僕も学校卒業して、小さな出版会社に入ってたんです。
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