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最終更新日:2020年4月26日
絵・写真・文:いろや商店の編集室
れんさいプロジェクト:いろやのこと
【出産後 編】初パパ店長の子育て。赤ちゃんが帰宅、サプライズの余裕もない波乱万丈の子育てがスタート
こんにちは。いろや商店の店長のおおま(@iroyaonline)です。
ここ「いろやのこと」では、まったりマイペースにいろやのあらゆる側面のおはなしをお伝えしています。
前回の出産中編では、出産の数日前あたりから出産までを早歩きで書きました。
そこまでも十分大変だったのですが、家に来るとなればやっぱりサプライズでお祝いをしたいと考えて、色々と準備を進めることを考えます。ところがどっこい、毎日の産婦人科への面会と、仕事、必要な用品の買い出しであっという間にひにちが過ぎて行きます。焦る店長を他所に息子が家にやって来る日が刻一刻と目前へ迫ってくるんです。息子が生まれたのは7月の後半、夏真っ盛りというところでしたので、とにかく暑かったのは覚えています。出産日から家に来るまでの日数はおおよそ5日間、めまぐるしい毎日にほとんど記憶が残っていないので、残っている記憶をたよりにお届けいたします。
いろや商店の店長のおおま(@iroyaonline)です。
ご覧いただきましてありがとうございます。
育児・子育て苦手な店長が、こどもが主役で書いてますのでゆっくりご覧くださいませ〜。
新米パパの出産日翌日
出産は深夜に及んだので、帰宅したのは明け方になりました。
面会はその日の午前中から可能ということだったので、それまでどう過ごすかを考えた結果、寝てしまうと起きられないような気がしたので、仕事をすることにしたのを覚えてます。出産前日から出産日までの2日間、まともに仕事が出来ていなかったので、こんなにおめでたい時だけれども、返さなければいけないメールの山・積もっている作業の山。それらが私の部屋(事務所)では待っていました。その頃は先にも触れた通りで「仕事が主役」で過ごしており、個人事業主として活動してたので、休んだ分の仕事は進まず、締め切りは近くなるで、2日間という過ぎ去った時間を埋めるのに必死だったと覚えています。
出産前から出産日。そして出産後の数日間は、仕事を休み、赤ちゃんや妻と向き合えるだけで全然違います。
フリーランスという働き方は、こういった場合にとても難しい現実に直面します。
そんなわけで、仕事に忙殺されながら面会初日を迎えました。
分娩室で生まれたばかりの赤ちゃんが、満身創痍の奥さんの隣に居て”小指を立てていた”のをチラッと見てからそれほど時間は経っていない(確か午前中だった気が…)のに、なんだかずいぶん久しぶりの面会な気がしたのを覚えています。
面会のために産婦人科へ行くと、奥さんも寝てる時間はほとんどなかったらしく、朝早くから入院時に行われる出産後の教育プログラムを一つ一つ覚えることに苦労していました。というのも、入院1日目の予定を出産日として使ってしまったらしく、1日目にすることと2日目にすることを同時並行でしていたらしいからです。授乳の仕方、オムツの変え方、お風呂の入れ方、毎日のケアなどを実際に赤ちゃんと一緒に行いながら、産んだばかりの体を休めるということらしいのですが、私からはなんだか休んでいないようなそんな気がしました。
地域で数少ない産婦人科ですので、できる限り次から次へと、出産のためにベットを空け、人を入れ替えないとベット数が足りません。そんなことから、入院早々にドンドン退院の準備が進んで行くという印象を受けたのを覚えてます。ここまで奥さんは出産前からずっと休みなしです。
奥さんが入院していたのは合計4日間。
5日目には、家に帰ってきたような記憶です。毎日面会へ行きました。産婦人科で習ったことをそのまま家でもできるようにしたいとのことで、産婦人科で使って覚えたものを聞いてまったく同じものを翌日買いに行き揃えるという。それらに奔走してたような気がします。もちろん、仕事も並行してしなければいけません。
その頃は今とは違い、ネットで注文しても翌日届くようなサービスもない頃でした。赤ちゃんのものとなるとネットで頼んで届かないと死活問題です。自分の足を運んでお店へ行き、確実に必要なものを手に入れ買って帰るというしか方法はありませんでした。
こういう細かいところだけでも今は便利な時代になりましたね。
あれ?そうです、サプライズ(出産祝い)の準備が全然できてません。
気付いた頃には退院日が迫っていてこれはまずいなと、焦っていたのを覚えてます。
でもこの間に赤ちゃんを向かい入れる部屋の用意は全てバッチリです。玄関から入り〜の、ドアを開け〜の、左にベッド、右に休憩場所。ベッドの横にも、子供を横にさせられるスペース。こどもと同じ目線で暮らせるようにと、ちゃぶ台を用意し、少し手前にある台所へ行けばすぐに調乳ができるセットのスタンバイ、そしてご飯も作れるように台所の準備・食材の準備も万全です。ということで、しっかり安全に赤ちゃんを迎え入れて、美味しいご飯を食べられるようにしておく。
これをサプライズにしようと…(全然サプライズになってないけど)心に決めました。
これをサプライズと感じたかどうかは、いまだにわかりません…。
ちなみに、奥さんが入院中は毎日自炊をしてました。
もともと店長は自分で料理を作るのが好きなので、ご飯を作ったりは苦にならなかったりします。
中学生の頃から学校から帰ったら、自分でお昼ご飯を作っていたので、それが役に立ったかのかもしれませんし、男子が授業で家庭科を習うという最初の学年でもあったので、それも良かったのかもしれませんね。
パパが料理をできると、こどもが小さい時は何かとママの役に立てることが多いので、なんだか役に立てるスキルがあって良かったなと思ってます。
退院当日、産婦人科へ
さて、ついに我が家に赤ちゃんがやってくる日になりました。
天気も良く、日差しも強い朝。少しだけ早く出ようと、いやまてよ..もし途中で何かあったらまずいな、いつもよりもう少し早く出ておこう。そう考えた店長は、歩いて15分で着く場所なのに、何故か1時間30分も前に出発(今思うとどう考えても早すぎぎでしょ)。なんとスムーズに着くじゃありませんか、産婦人科の開く1時間以上前に到着。気づかない間に歩く足も軽やかに進んでたんですかね、いつも以上にスムーズに到着してしまいました。
でも当日は、我が家以外にも退院のご家族がいて、皆さん同じ気持ちなのかどこも早くきてましたね。
そういえば、同じ日に生まれた子の中で、男の子はうちの息子だけでした。
女の子に囲まれながら”小指を立てて”いつも寝ている姿は、その日に生まれた子の中で一番小さい赤ちゃん。産婦人科の先生や同じ日に生まれた子の面会に来るご家族には、小さく産んで大きく育てればいいのよ!と口々に言われたのをハッキリと覚えてます。今思うと、大きく育ってるんだろうか…。
そして、退院の時に着たいと奥さんが用意していた服がありました。
パパは入院中、毎日着替えなどを交換しに面会へ行きます。退院までは、普段着ていた服などを届け、帰ってからは洗濯をして翌日に備えてました。とうとうこの日に用意していた服を着る機会が来たのです。なんだか感慨深いですね。
ということで、写真を撮られるのが大嫌いな奥さんですが、今回ばかりは無理を言って撮らせてもらいました。
ここで小さな疑問点。
そういえば退院の日ってみんなどうやって帰っているんだろうと、実は数日前に気づいてインターネットで調べました。どうも当日ベビーカーで帰るという人は居ないようだぞ…と、真夏の炎天下の中という音もあって、歩いて帰る人もあまり居ないようだぞと、何もわからないのでエアコンも効いてるだろうし、一番の安全策と思って退院後の帰宅の足はタクシーを選びました。タクシーにお世話になるのもこれでしばらくないだろうなと思いながら、タクシーを手配したのを覚えてます。まだパパは赤ちゃんを抱っこしてません、落としたらと思うと怖くって、退院時から家に着くまでずっとママが抱っこしてました。
出産からの帰宅、自宅へはじめての赤ちゃん
出産日のタクシーと違って、安心してお任せできる運転でした。
もともと歩いても15分足らずで着く距離なので、タクシーならもちろんワンメーターです。走る距離のことを考えると申し訳ないなとも思いながらも、利用させてもらいました。そして奥さんにとっては久しぶりの我が家、店長は朝ぶり、そして赤ちゃんは生まれて初めて病院の外で〜す!
今までは安心・安全な産婦人科という、専門の先生たちのいっぱいいる空間にいた小さな赤ちゃんが。子育ての素人の家にやって来ました。これから、こんなに小さな赤ちゃんを夫婦でみていかなければいけないのかと思った時、急に不安にかられ、青くなりましたが、戻って来て私が用意しておいた布団(?)でぐっすり寝ている姿をみたらその不安もすぐに消し去りました。
そして何よりも、ママのたくましさですね。産婦人科で一生懸命覚えてきたんだろうな…と、オムツを替え、授乳をし、そしてテキパキと、産婦人科で過ごしていた1日と同じことをしようと指示してくれます。これをみているだけで、なんだかやっていけそうで、大丈夫だろうなと思えました。
奥さんも自宅に戻ってきて・普段のリラックスできる服に着替えて安心をしたのか、赤ちゃんの横で同じ格好をして寝てました。しばらくその様子を見ながら、ボケーっと本を読んでたのを覚えています。
この日も見事に仕事ができていませんが、それどころではないのです。そう思うことにして諦めることにしました。どんどんお金は出て行くのですが、仕事は一向に進みません。こちらの不安も感じつつ、今は人命がかかってますので、それはその時に考えることにしようと思いました。
※ 正直に申しますと、出産の前日から2週間はほとんど仕事にならなかったのを覚えてます。
そしてその日の夕方頃、今まで抱っこをしてこなかった私にも、ついに抱っこをする場面が訪れます。
お風呂に入れるのです。これは家に来た初日からわたしに与えられた大きな役目でした。季節も夏ということもあり、汗を洗い流すというのは大事だそうです。息子はこの日から今まで一度もお湯洗い以外したことがありません。体全体をお湯で洗い流すだけ、赤ちゃんの頃も今もそれは変わりません。
赤ちゃんを、恐る恐る手にのせようとするのですが、親の不安を赤ちゃんも感じたのか、少し不安そうにビクビクとしていたのを覚えてます。ここは意を決してやろうと、そう心に決めてからは自信を持ってお風呂に入れました。ちなみにこの頃はお風呂といっても、浴槽ではなくて洗面所で行なっていました。両手から少しはみ出る程度の大きさの赤ちゃん。力の入れ具合も考えながらお湯で体を流し着替えさせ、寝ていたお布団(バスタオル式)を新しいのに換え横にします。気持ちよさそうに、スヤスヤと寝てます。(しばらくはこの毎日でした)
1日1日と経つうちに、なんとなく家に赤ちゃんがやってきたのを感じ、今までと全く違う生活のサイクルの変化を感じることで少しずつパパになったんだということを実感するように至ります。なので、パパになったんだなと実感したのは生活リズムの大きな変化だったと思います。
ちなみに、3食のご飯はできる限り私が作ってた記憶があり、仕事はもちろん合間にするという、今まで「仕事が主役」で来た私にとって、強制的に訪れた「子育てが主役」の変化は苦痛とは一度も思ったことはないけれども、想像していた以上にとても大変なものでした。仕事に向かえる時間が全くないのです。
これは、新しい仕事の仕方を見つけないと絶対ダメだろうと悟ることにもなります。
結局、赤ちゃんが来た日は久しぶりの徹夜になりました。
なんだか眠れませんでした。久しぶりに家に人がいて、そして今度は今までいなかった家族が一人増えて目の前で寝ています。
なんだか実感があるような、ないような、これからの不安だったり、いろいろなことが重なって全然寝られなかったのを覚えています。もちろん、寝ていないのに仕事は手につかないという….。本を読みながら、ボケーっと明るくなる朝を迎えたのを覚えています。夏なので、朝がやってくるのもあっという間でした。
産婦人科退院の翌日、赤ちゃんとの暮らし
今日も、そして明日も赤ちゃんがいます。昨日からはじまった、赤ちゃんがいる暮らし。
正直なところ、まったく慣れませんでした。今までには無かったするべきことが急にドッと一気に押し寄せます。朝から夜まで、起きている間は常に赤ちゃんと奥さんの状態を伺い、奥さんの指示を受けながらその日にすることをします。
授乳は奥さんにしかできません。大変だった出産の疲れを少しでも癒し、体を安静にする期間は多いに越したことがありません。仕事ができそうかな?と思ってパソコンに向かえば、忘れた家事を思い出し。終わった頃にはお風呂の時間。そんなわけで、いつ休みいつ仕事をしていたのか全く覚えていません。でも、なんだか毎日充実していたのは覚えています。
奥さんも休んでいるばかりではなくて、家のことにすぐ手をつけ始めました。そんな訳で、少しずつ赤ちゃんがいる暮らしを作っていくことになります。
赤ちゃんが来てからの生活は、教科書通りに過ごしました。こどもがはじめて外出をしたのは、いろいろな本に載っている通りに従って、家に来てからのちょうど1ヶ月後です。外出ができるようになってからは、赤ちゃんがいる暮らしが一段と賑やかになって来ます。あれを用意しよう、これを着せようと…。今となってはもう少し早く外出しても全く問題なかったんじゃないかなと思ってます。
赤ちゃんが眠るとあまりにも静かなので、2歳くらいまでは毎日のように心臓が動いているか、息をしてるか、耳を胸にあて確認していたのは今でも覚えています。毎日とにかく必死でしたが、その中で日々過ごせたことは何よりも幸せなことだったんだと今は思います。
大きなトラブルも病気もなく、元気一杯に生まれてからの自宅期間を過ごせたのは、出産日までと違って安心の日々でした。今このお店「赤ちゃん・こどもを育む専門店」をしていて、その頃の大変だった日々はとても役に立っています。常に赤ちゃんに触れ、一緒に暮らす時間の中で、たくさんのお店も行きましたし、みました。そしていろいろなことを考えました。
赤ちゃんとの暮らしをつくる用品を様々なお店から一つずつ集めていく中で、一つのお店にまとまってあればいいのになと…単純にそう思うことになります。その頃は自分自身がお店をするとは思っていませんでしたが、今に繋がっていたんだなと、今はそう思います。
この頃、家族が寝静まる、深夜の3時から朝の7時頃が仕事時間でした。
今までは自由に仕事のペースに合わせて仕事の時間をつくり、使ってきた私にとって(もちろん納期までの間として)、時間制限の中で仕事をする必要に迫られました。
この時はじめて仕事の効率化や、時間配分といったものをシビアに考えるきっかけにもなりました。
このようなかたちで、出産前から出産を駆け抜け、赤ちゃんがいる暮らしまでやってきました。
生まれる前と後との大きな変化は、暮らしの変化でした。すべきことは一気に増え、夫婦で協力しなくてはやっていけないことがたくさん訪れます。それらを協力し乗り越えるたびに、家族の形を作って来たような気がします。
大変なことがあっても、なくても、毎日朝はやって来て1日のサイクルはいつも同じペースでやって来ます。
1日1日少しずつ、できることを重ねるごとに、こどもは成長して行きました。そしてこどもの成長とともに、気づかされることも多く、それによって親としての店長自身も成長できたような気がします。
「しごとが主役」の私にとって、半ば強制的に訪れた「こどもが主役」への変化は、新しい自分の成長に気づかせてくれたと感じてます。