読み物
最終更新日:2020年6月2日
絵・写真・文:いろや商店の編集室
れんさいプロジェクト:いろやのこと
子育て『ノマドワーカー』パパ、仕事の働き方を変えて子育て・育児を楽にする
こんにちは。いろや商店の店長のおおま(@iroyaonline)です。
ここ「いろやのこと」では、まったりマイペースにいろやのあらゆる側面のおはなしをお伝えしています。
今回は、店長自身の子育ての中で見つけた『ノマドワーカー』という働き方とそこに至った経緯から、大変だったことまで、余すことなく書いてみることにしました。今となっては、働き方の多様性の一つとして、定着して来つつある『ノマドワーカー』と呼ばれる働き方(スタイル?)ですが、店長が子育てをしていた頃はまだまだ珍しいことでした。こどもが主役で暮らす日々を追い求めた結果、たどり着いたひとつの働き方だったのですが、その後会社を経営するにあたって、この『ノマドワーカー』をもう少し組織的に広げてみたいなと感じ『リモートワーク』を実践するに至ります。
結果的に組織的な試みは、うまくはいかなかったのですが、その働き方には可能性を感じました。
かれこれ10年以上経った今も、ノマドワーカーのように日々暮らす店長のごくごく日常の働き方を少し書いてみることで、パパに限らず、仕事で活躍するようになってきたママにとっても、仕事と家事・育児の両立の参考になればと感じてます。
そして、実際のところいいことばかりではありません。そのあたりもしっかり触れながら書いてます。
いろや商店の店長のおおま(@iroyaonline)です。
ご覧いただきましてありがとうございます。
育児・子育て苦手な店長が、こどもが主役で書いてますのでゆっくりご覧くださいませ〜。
子育て中の父親の働き方の多様性
このお話のはじまりは、今からおおよそ10年以上前のことになりますが、今でも役に立つと思い書くことにしました。
一応にその頃のお話として読んでください。その頃と今とを比べると、子育ての環境は少しずつ変わって来ました。店長が産婦人科へ付き添っていた頃、男子の育児参加はとても珍しく「イクメン」という言葉が突如現れた頃でもあります。子育ては女性の仕事・お金を稼ぐのは男性の仕事という家庭の形。それが少しずつ変化しはじめて来た頃でした。
子育てに関わらず、ITの普及によって働き方も多様化して来ました。場所を選ばず、空いた時間に空いた場所で仕事をする「ノマドワーク(ノマドワーカー)」の登場です。スターバックスコーヒーと並列に語られる「ノマドワーク(ノマドワーカー)」という働き方の出現で、仕事時間の使い方も大きく変わりました。仕事をパソコンの中に入れ、仕事を日々持ち歩き、空いた時間に空いた場所でパソコンを広げればそこが仕事場になる。
「ノマドワーク(ノマドワーカー)」は、今や当たり前になった仕事スタイルの一つですが、ノートパソコンの低価格化とネット環境の拡大・企業のIT化が進んだことによって、この頃から変わりはじめました。
また、今や女性も男性と同じように働く時代になりました。
求人から「女性・男性」という表記を辞めようとなったのも記憶に新しいです。それまでは、女性の職種・男性の職種でしっかり分かれていましたし、一部職業を除いて女性が働いている姿をみることはほとんどありませんでしたが、今や女性が就けない仕事の方が珍しい時代になりましたね。この変化も子育てをしている中でとても大きなことと感じました。
子育てにまつわる仕事の仕方は、このようなところでも大きな変化が訪れました。
女性の働く時間、男性の働く時間、子育ての分担、家事の分担、女性の環境変化と共に男性へも大きく変化を求められる時代になりました。男性・女性という性をこえたところで、話し合い、様々なことを分担しあい、協力する時代に入ったんだと店長は感じました。
男性だから、女性だからという視点ではなくて、双方の話し合いの末に決めた生き方・暮らし方を自由に選べるようになったのは、女性にとっても男性にとっても、生き方の選択肢が広がったことを感じます。そしてそれに応じて、家族の形・過ごし方・子育ての形も多様化してきました。
自分なりの考え方を持って、選択肢の多い社会の中で暮らしの形を作っていくか。生き方を自由に選べる時代に入ったと感じています。でも逆に、多様化したことによるすれ違いも多くなって来た時代とも感じています。
こういう時代だからこそ、コミュニケーションはとても大切になりつつあります。
子育てパパのノマドワーカーに至った経緯
父親となった店長の子育てと仕事はいつもセットでした。
こどもが生まれてからは、夫婦二人で過ごして来た時間のほぼ全てが子育ての時間に激変しました。
店長にとっては、仕事120%フルアクセルで働いていた中に訪れた子育ての時間。まったく想像していなかった時間と日々のやりくりに奔走しました。仕事では急ブレーキは許されないし、家計的にも仕事を休むことはできない。父親としての子育てに関わることも大事なことだとは分かっている。そして、弱音は吐きたくない。ということで、残された道は「ただひたすらがむしゃらに頑張るのみ!」と腹をくくりました。
これが良かったのか、悪かったのか…。今となっても答えは見つけられていません。
日中はすべきことがたくさんありました。
奥さんは、体があまり丈夫ではないということもあり、できる限りの家事を引き受けましたし、夜落ち着いた頃に寝て、明け方2時頃に起床し、家族が起きてくるまで仕事。その後は必要な家事といった具合の日々です。イクメン(どことなくかっこよく・華やかなイメージ)という言葉には程遠く、こどもの安全や安心を第一に日々黙々と地味な日常の家事を泥臭くこなす。選択をたたむのは苦手だし、下手でも、散らかっているよりはいいだろうと。そういう思いで、できることだけを毎日大切にして暮らしました。
イクメンと言えるほど華やかさもなく、良い夫であろうといった気配りもままならず、大事にしていたのは「こどもが主役」という気持ち。この思いだけで頑張っていたことくらいを覚えています。
このめまぐるしい毎日がいつまで続くのかと思いながら暮らしていましたが、こどもの成長と共に少しずつこの大変さも変化しました。こども自身のできることが増えるにつれて寝る時間も増え、それにつれて奥さんの体調も回復していきました。
それに伴って、少しずつ私自身の時間も増えていったのを覚えています。
この頃、限りある時間の中で、少しの隙間時間も無駄にしたくありませんでした。
少しでも早く・多く仕事をすることに常に考えを巡らせていました。
高価だったにも関わらず、フリーランスをスタートした頃から、いつもノートパソコンを使っていました。実は今から20年ほど前のPC9821の頃以降は、一度もデスクトップパソコンを持ったことがありません。一時期、Macminiを持ちましたが、これも持ち歩き用のハードディスクとして考えていました。
長く動きやすく身軽なノートパソコンの環境をうまく活用しようと考えていました。
自宅で固定のネット回線をほとんど利用しない(今も)ため、常にモバイルWIFIを持って歩いてもいました。
これとノートパソコンを使えば、隙間さえあればどこでも仕事ができるな…と、思いつき、自分だけかな?と思ったら、面白いことに同じように考える人が結構いたんですね。日々周りでも見かけるようになっていきました。
このようにして、
こどもが小さい頃は、とにかく空いた時間(こどもの昼寝の時間、外出先での預かりサービスを使っている時間など)をどのように有効活用するかばかり頭を巡らせていました。
予定は全て状況によって崩れる日々。今ある目の前の時間を無駄にすると、何もかもが過ぎ去ってしまうので、その日一日を後悔してもしきれません。
子育てを通して、今ある時間の大切さ・過ごし方の大切さ・時間の使い方を深く学びました。
『ノマドワーク』で大変だったこと(デメリット)
テーブルに座り、ノートパソコンを開いて、コーヒーを飲みながら仕事をスタートする。
今や比較的どこでもよくみかける光景ですが、店長が育児をしていた10年くらい前はあまり見かけない姿でした。
これについてはずーっと昔、ブログを書き綴っていた頃に少し書いた記憶もあります。(ブログの記事は何処かへ行ってしまったけれども)
今のように席に着く半分くらいの人がノートパソコンを開いて過ごしている店内の光景と違い、ほとんどの人がコーヒーを飲みゆっくりしている中で、パソコンを開いて仕事をするという行為は、客観的に見ると皆で使う場所を私物化しているような感じで、長時間過ごすことはできませんでした。(これは今も同じ気持ちになります)
コンセントを使わせてもらうにしても、「電源をお借りしても良いですか?」と店員へ伝えた時の対応に困った様子などは、今も忘れられません。「この、おかしな人大丈夫?」という声が空から聞こえてきたような日もありました。
あの頃、一人で喫茶店に座って数時間もいるなんて考えられませんでした。喫茶店の使い方も大きく様変わりしたと感じています。
ちなみに、『ノマドワーク』は、いいことばかりではありません。
人の目につく外で仕事していることに変わりはありませんので、家の中で自由に仕事をしているのと違い、『誰に何を見られている』かわからないものです。世にまだ出ていない大手企業の企画なども取り扱っていましたし、数字に関する仕事も多数取り扱っていたので、機密度の高い仕事、知名度のある仕事はほとんど外に持ち出してできませんでした(持ち出さないようにしていました)。
『ノマドワーク』では、他にも大変なことがたくさんあります。
自分のペースで仕事場所を確保するのが難しいこともその一つです。
いつもの場所が、今日も空いているとは限りません。言い方はあれですが、コンセントがあるお店の席取り合戦は激しいものです。それにやっぱり自宅で仕事をしているわけではないので、好きなように過ごして良いわけではありません。混雑具合や、お店のルール、店員さんとのコミュニケーションもしながら、お店側の都合に合わせてすることが続けるための常識です。
『ノマードワーク』というと、自由な仕事スタイルで、自由に仕事ができる憧れのような描かれ方もしますが、実際は違います。
企業内のフリーアドレス制とは違って、都会だとどこも混んでいて仕事場所に困ることの方が多いです。
それに、外へ持って歩ける仕事内容も限られるので、結局のところ誰にも気を使わず、自分のペースで、仕事をする場所は必要になります。
コワーキングスペースや、シェアオフィスが流行り出したのは、このノマドワーカーという働き方の一つの節目でもあると感じています。自分のペースで落ち着いて仕事ができる家以外の場所があるのは何にしても助かります。
子育てをしていると分かるようになりますが、子育てをしながらだと家の中での仕事はやっぱり落ち着きません。外で落ち着いて仕事ができる環境。会社に勤めていれば当たり前にある環境ですが、フリーランスとなると(事務所用スペースを借りるのも大変)その環境を手にすることはとても大変なことなのです。
これは、『ノマドワーク』をして感じたデメリットです。
実践してみたリモートワークの組織づくりと経営
フリーランスの時代は終わり、こどもが生まれた後に会社を法人化。今では小さい会社ですが、以前は少しばかり人数のいる会社組織でした。
社員は全てが『リモートワーク』の会社です。
これも今となっては珍しくありませんが、会社とフリーランサーが契約している会社、業務委託で所属しているように見せかけている会社はあれども、組織体でありながらも、フリーランサーが集まったような会社組織を作っているような企業は多くありませんでした。
店長が当初目指していた組織づくりは、フリーランサーにとってのリスク(社会保障や給与安定・契約問題など)を会社がカバーし、フリーランスのような働き方(裁量労働や仕事時間・スタイルの自由化)を個人の判断の上にできる組織づくりでした。
新しい発想と新しいチャレンジ。フリーランスでは日々の生活費を稼ぐことにばかり追われ、大きなクライアントとも契約上結ぶことも難しかったり、未払い問題も多いなど、チャンスに巡り会える機会や、日々の暮らしを安定させることが容易ではありませんが、会社組織の上では大きなクライアントとも付き合え、クリエイティビティを発揮できるチャンスは大きく広がります。
フリーランスを目指している人、フリーランスをしていた人を中心に組織しましたが、思っていたような形になりませんでした。
ちなみに、リモートワークに特化した業務管理を行い、日々の管理も全てオンライン上で行なっていました。
法人化した頃のことは以下の記事をご覧ください。今はこれらの経験をもとに、コンサルティングの仕事の中でアドバイスなどもしています。
子育て中のママ・パパに必要な働き方の多様性
店長は、フリーランスとして仕事をしていた頃から、自分の仕事の方法を自分で作り考えることができました。
これは環境面という意味ではとてもありがたいことでした。でもその分、日々の稼ぎや暮らしの安定面では、大きなリスクを背負っていたことには違いありません。
会社勤めをしているサラリーマンには働き方の選択肢を増やすことは、まだまだとても難しいことです。
いくら子育てへの参加を言われたところで、雇用契約上決まった時間に会社へ行かなければいけないですし、会社側にも拘束力があります。また、会社での立場もあるため、家との板挟みにもなりやすいです。会社勤めをしている人にとって、フリーランスになることは、選択肢の一つではありますが、日々の稼ぎや安定を手放すほどフリーランスに熱くなる人ばかりではありません。子育て中のママ・パパにとって、会社勤めをし安定した環境を確保しながらフリーランスのような”選択肢の広い多様な働き方”を求めている人が大多数だと思います。
こどもの近くにいながら、仕事との両立。
女性の社会進出と、働き方の多様性はセットで語られることが多いですが、別々のレイヤーのものだと店長は感じています。
男性にとっても、女性にとっても、働き方が多様で選択肢が多くなれば、自然と子育てで協力する時の作業分担も多様化されます。お互いの得意なこと、不得意なことを支えあうことで、夫婦としての大きなプロジェクト(子育て)を完了させることができると考えています。
冒頭でも少し触れた通りで、社会的な仕組みも含めて男性と女性で子育ての分担がはっきりしていた以前と違い、いまの時代はお互いの暮らしの方の中で、話し合い、協力し合い、すり合わせをしながら子育ての環境を作っていく時代です。
働き方の多様性も含めて、まだまだ課題が多いです。
そして、インターネットをのぞくと、多様な子育てが見えてきます。
SNSをみれば上手に楽しそうに子育てをしている様子を見ることもあるかもしれません。でも、店長は過酷でした。とてもしんどくて、逃げ出したい!と思う日もたくさんありました。毎日の暮らしに必死で、華やかな子育て生活とはほど遠かったです。(夢には見ていましたけれども…)
『隣の芝生は青い』という言葉もある通り、インターネット上では普段見えない遠くの人の子育ての華やかな面がすぐ目につきます。それらばかり見ていると、なんだかとても良くできていて、自分自身の子育てが全然うまくできていないんじゃないか?と不安に苛まれます。このような感じで、たくさんの子育て情報に触れると、自分自身の不甲斐なさに打ちのめされることに出会います。実際店長もそうでした。
だからこそ、マイペースに気持ちよく子育てができる働き方と暮らし方を見つけることが大切な時代です。
一つの働き方として『ノマドワーク』という実際に実践していたことを取り上げて書いてみました。
参考になるかはわかりませんが、何か質問とか聞きたいことがあれば、ご相談ください。